2023.4.14.(2023.06.14.改訂)
話題だけでは無い?!
2023年2月頃からニュースなどで「ChatGPT」というワードが取り上げられる事が多くなりました。
プログラマーやIT業界の人々には既に新しい常識となっている感がありますが、一般の人にはまだ十分に認知されていない面もあります。実際ChatGPTがまだどのようなものかよく分からないという方も多いと思います。
一方でChatGPTの登場は社会に大きな影響をもたらす革新的技術と言え、一時期盛り上がったClubhouseのような一過性のブームとは全く異なります。
この新しい潮流を見過ごすべきではありません。
そこで今回は改めてChatGPTについて解説し、その概要や機能、急速に普及しようとしている理由、そして私たちの仕事や生活への影響について紹介したいと思います。
ChatGPTの登場
2022年11月30日、米国のITベンチャー、オープンAI(OpenAI)が開発したチャット型の文章生成ツール「ChatGPT」の正式版が公開されました。
同年9月にはβ版が公開されていましたが、約2ヶ月の試行期間を経ての正式版公開となったわけですが、公開直後からCharGPTの人気は凄まじく、12月5日にはChatGPTのユーザーが100万人を突破しました。
更に2ヶ月後にはアクティブユーザー数が実に1億人を突破するという驚異的な成長を見せています。
ChatGPTとは
ChatCharGPTはChat Generative Pre-trained Transformerの略語です。そのまま訳すと「対話式の汎用訓練済変換器」といった内容になります。
具体的には自然な言語に反応して文章を生成してくれるAIツールです(既に文章以外のものも生成できる形に進化していますが…)。
ChatGPT以前にもAIを使ったチャットサービスなどは存在していましたが、人が対面して会話する内容には遠く及ばない、機械的な返事を返す機能しかありませんでした。
これに対しChatGPTは圧倒的に言語能力が高く、汎用性も高いツールとなっており、複雑な会話も汲み取って自然な言語で回答する事ができます。
歌を作ってみたら
難しい説明をするよりも実例を示した方がわかりやすいと思います。
試しにChatGPTに「銀座のバーの歌を作りたいので歌詞を考えて下さい」という問いかけをしました
するとこんな答えが返ってきました。
(Verse 1)
夜の帳が降りる銀座の街で
煌びやかなネオンが輝く
迷い込んだこのバーのドア
静かな時間、始まりの予感
(Chorus)
銀座のバーで踊ろうよ
甘いカクテル、音楽に酔う
この夜の魔法に包まれて
ふたりだけの世界を見つけよう
(Verse 2)
シャンデリアが映す幻想的な景色
暖かい笑顔、心満たされる
ジャズのリズムが響く空間
ふたりの距離が少しずつ近づく
(Chorus)
銀座のバーで踊ろうよ
甘いカクテル、音楽に酔う
この夜の魔法に包まれて
ふたりだけの世界を見つけよう
(Bridge)
時を忘れて、夢中で語り合う
秘密のような夜、永遠に続けばいい
バーテンダーのシェイカーの音
心の奥底まで響くメロディー
(Chorus)
銀座のバーで踊ろうよ
甘いカクテル、音楽に酔う
この夜の魔法に包まれて
ふたりだけの世界を見つけよう
(Outro)
銀座のバーの歌、忘れられない
心に刻まれた、甘い思い出
いつかまたここで、出会える日を
待ち続ける、永遠の夜に
ここまで40秒くらいです。すごくないですか。
これに例えば「コリドー通りというフレーズも入れて」と指示したら直ぐに作り直してくれます。
使い方次第で本当にいろいろな事ができるツールなのです。
無料で使える⁉
2023年に公開されたChatGPTのモデルはGPT3.5というモデルです。
このGPT3.5は実は誰でも簡単なアカウント登録をすれば無料で使う事ができます。
現在はバーションアップ版のGPT4も公開されていますが、GPT4の方は有料です。
月額$20の有料プラン「ChatGPT Plus」を登録すればGPT4も利用する事ができます。
実は最新情報には疎い⁉
ChatGPTは普通に検索エンジンとして使う事もできます。
但しこの時点ではCharGPTは2021年9月までの情報しか拾う事ができません。
なので2022年のワールドカップや2023年のWBCの事を聞いても正しい回答が返ってきません。
ここは大きな弱点となっていますが時間の問題なので、間もなく解消される事でしょう。
大規模言語モデル
ChatGPTの能力は大規模言語モデル(Large Language Models/LLM)と呼ばれる大量のテキストデータを使ってトレーニングされた自然言語処理モデルが支えています。
前処理をした570GBという膨大なテキストデータを読み込んで学習をさせる事で高度な言語モデルを獲得しています。
と言ってもよく分からないですよね。
とにかく尋常では無い規模のデータを使って学習する事で突然賢くなったAIと理解すれば良いかと思います。
ChatGPTにペンシルバニア大学MBA課程の期末テストを解かせた所、B(優秀判定)でパスするなど既に高い能力を証明しています。
シンギュラリティ(Singularity)
シンギュラリティという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
シンギュラリティ(Singularity)は人工知能が進化を続けて人間の知性を超えるという特異点を指します。
人工知能研究の世界的権威レイ・カーツワイル氏が2045年にシンギュラリティに到達すると予測。理論物理学者のスティーブン・ホーキング博士も警鐘を鳴らしました。
ところが2020年以降状況は劇的に変わり、直近では2025年にシンギュラリティを迎えるという理解が学者間で拡がりつつあります。
CharGPTの登場はその到来を予感させる事件と言えます。
OpenAI
ChatGPTを開発したOpenAI社は、2015年にイーロン・マスク氏ら複数の投資家の出資によって設立されたAI研究所です。但しイーロン氏は2年程でOpenAIから手を引いています。
OpenAIは汎用人工知能(AGI)が人類全体に利益をもたらすことを使命とし、当初は非営利団体として設立されました。
2019年に営利企業のOpenAI LPを創設し、現在はOpenAI LPとそれを管理する非営利団体OpenAI Nonprofitの二組織体制で運営されています。
ChatGPT以外にも文字入力による画像生成AIツール「DALL E2」、音声認識AIツール「Whisper」などを展開しています。
マイクロソフトの出資
2019年〜2020年にはマイクロソフトなどがOpenAIに合計10億ドルという巨額の出資を実施しました。
更にマイクロソフトはVC(ベンチャーキャピタル)と共に今後100億ドル規模の出資をする事を表明しました。マイクロソフト社史上最大の出資となります。
OpenAIの技術を優先的に使える権利を得たマイクロソフトは、2023年2月にChatGPTの技術を組み込んだ検索エンジン、新「Bing」を公開しました。
Googleの危機感
一方、ChatGPTの台頭とマイクロソフトの動きを見てGoogleのスンダー・ピチャイCEOは全従業員向けに「Code RED(非常事態)」を発信しました。
Googleの利益の8割は検索に伴う広告収入と言われており、ChatGPTの成功が検索と広告の激減を引き起こすと予想されるからです。
Googleは独自の対話型AIモデル(LaMDA)を搭載した「Bard」を発表しています。
Microsoft Copilot
2023年3月13日、マイクロソフトはWebブラウザ「マイクロソフトEdge Copilot」の提供を開始しました。更に3月17日には「マイクロソフト365 Copilot」を発表。数ヶ月以内の提供を示唆しています。
マイクロソフト365 CopilotはChatGPTの技術とマイクロソフトOfficeを連携させたものでEXCEL、Word、PowerPoint、Outlookなどを自然言語で動かせる様になります。オフィス業務を大きく変革させると見られています。
AIで仕事が変わる?!
今後AIによって広い範囲の仕事が大きな影響を受けると言われています。AIが文章、絵、写真、動画、資料、グラフなどを作れるようになり、生産性は劇的に上がりますが、AIが大半の作業を行う時代に何をするべきかを考える事が極めて重要です。
2023年3月以降は毎日の様にAIを核にした新しいサービスが発表されており、そのサービスも驚くようなものばかりです。
IT業界は空前の盛り上がりを見せており、冗談抜きで新しい「産業革命」の到来と言えそうです。
新しいサービスも順次紹介して行きますが、その中心的存在といえるChatGPTを是非触ってみて下さい。
単純にとても楽しいツールですよ。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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