サム・アルトマンとは何者か!?オープンAIのCEOが描く社会

ChatGPT
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世界が注目する重要人物

会話型AI「ChatGPT」を世に送り出し、世界のAIシーンの最先端を走るオープンAI。
そのオープンAIの代表であり、AI界隈のみならず政治経済を巻き込んだ時代の最重要人物となっているのがサム・アルトマンCEOです。
アルトマン氏はオープンAIだけでは無く、多種多様な事業を創業し、あるいは投資しています。
今回はアルトマン氏はどの様な人物なのか、そして社会を創造しようとしているのかを見ていきます。

サム・H・アルトマン氏

サム・アルトマン氏(正確にはサミュエル・ハリス・アルトマン/Samuel Harris Altman)は1985年4月、米国カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ。
ミズーリ州のセントルイス市で育った後、2005年に名門スタンフォード大学に進学していますが在学中に起業して大学を中退しています。
アルトマン氏の主な経歴は以下の通りです。

・1985年 カリフォルニア州サンフランシスコに生まれる
・2005年 スタンフォード大学入学(専攻はコンピュータ科学)
・2005年 ループを共同創業
・2007年 スタンフォード大学を中退
・2011年 Yコンビネーターに参加
・2012年 ループを売却
・2014年 Yコンビネーター代表に就任
・2015年 オープンAIのCEOに就任
・2019年 Yコンビネーターを退職

ループ(Loopt)の創業

アルトマン氏はスタンフォード大学在学中に友人と共同でスマートフォン向けの位置情報サービスに関するアプリを開発・運営する「ループ(Loopt)」を立ち上げ、共同創業者兼最高経営責任者となりました。
アルトマン氏がまだ19歳の時です。
ループ社はその後2012年にグリーン・ドット銀行に4,340万ドルで売却します。

Yコンビネーター(Y Combinator)への参画

2011年にアルトマン氏はYコンビネーター社に非常勤のパートナーとして参加します。
Yコンビネーター(Y Combinator)は伝説のハッカー、ポール・グレアム氏が2005年に設立した企業で、一般には余り馴染みがないですがスタートアップ企業の世界では非常によく知られている存在です。
起業家(スタートアップ企業)に2万ドル前後の資金を投資して、3ヶ月間の集中指導によって企業を鍛え上げて他のベンチャーキャピラタルや投資家から投資を得られる形に育てることを事業としています。
Yコンビネーターが年に2度行なう選考には、世界中の起業家から2万件以上の応募が殺到します。

Yコンビネーターの代表に就任

Yコンビネーターでアルトマン氏が最初に関わった支援相手がドロップボックス(Dropbox)でした。
アルトマン氏は事業展開や顧客獲得などについてアドバイスを実施し、ドロップボックスは急成長を成し遂げました。
民泊サービスのAirbnbもアルトマン氏が支援した企業です。
アルトマン氏はAirbnbの事業展開のアドバイスと共に法律的な問題をクリアする解決策を示し、Airbnbの経営を軌道に乗せる事に大きく貢献しました。
多大な実績を残したアルトマン氏は2014年にグレアム氏からYコンビナーター社の代表の座を引き継ぎ、これによってビジネス、投資の世界で名を知られる存在となって行きます。

オープンAIの設立

2015年、アルトマン氏はイーロン・マスク氏らの実業家と共同で非営利団体のオープンAI(OpenAI Inc.)を設立します。
オープンAIは、AI技術の進化と普及を目指すと共に、技術のオープンソース化を通じてAIの発展を民主化することを重視し、非営利な研究機関として設立されました。
開発したAIのプログラムの中身(コード)を公開して誰でも見られるようにする事で、AI技術が少数の企業や組織に独占される事を防ぎ、より安全なAI技術の普及を進めようとしました。
以下のメンバーが主な中心となり、10億ドルの資金を供出して創業しています。

・サムアルトマン氏(Sam Altman) 投資会社Yコンビネーション元代表
・イーロンマスク氏(Elon Musk) テスラ社、スペースX社の創業者
・ピーター・ティール(Peter Thiel) ペイパル創業者、投資家
・リード・ホフマン氏(Reid Hoffman) リンクドルン創業者

ただ2018年にイーロンマスク氏がオープンAIの取締役を辞任し、2019年にはマイクロソフトから巨額の出資を受けるようになるとオープンAIの組織の体質は少しずつ変化していった様です。

ChatGPTの衝撃

2022年11月30日、オープンAIは会話型AI、いわゆる「ChatGPT」を公開します。
実際には9月から試験運用をしていましたが、2ヶ月間のα版運用を経て公開されています。
普段使っている自然言語でAIと会話ができるChatGPTの登場は世界に大きな衝撃を与え、2023年2月にはユーザー数が1億人を超える爆発的な広がりを見せます。
ChatGPTの爆発的なユーザー拡大を受けてオープンAI、更にはアルトマンCEOも世界中の注目を浴びる存在となりました。
2023年4月10日には来日して岸田総理大臣と総理大臣官邸で面会しています。
7月にも来日して慶応大学の学生などを前にスピーチをしています。
もっともアルトマンは日本にはプライベートでも度々訪れているようです。

アルトマンCEOの解任騒動

オープンAIが成長を続け、絶好調に見えたアルトマン氏ですが、2023年11月に足元を救われる事態を迎えます。
11月17日にオープンAIの取締役会がアルトマンCEOの解任を発表したのです。
この事態は、その後わずか数日の間に事態は二転三転した上に、オープンAI社員の圧倒的な指示を得てアルトマン氏がCEOに復帰するという結末を迎えました。
解任騒動の顛末は別の記事で解説していますので参照下さい。

アルトマン氏のAI観

AI開発の最先端企業を率いるアルトマン氏はAIに関してどのような世界観を持っているのでしょうか。
アルトマン氏はAIの将来を決して楽観視しているわけでは無く、AI開発におけるいくつかの問題点を指摘した上で国際的な規制の枠組みが必要との立場を取っています。
アルトマン氏が指摘する主な問題点は以下の通りです。

・AIの管理統治
・AIが生み出す利益をの公平な分配
・AIへの公平なアクセス

AIは人類に多大な利益をもたらす一方で世界を深刻な危機に晒す可能性があります。
アルトマン氏はAIの取り扱いに関する国際的な議論が行われ、一定の時間を掛けて社会がAIに対応できる体制を築く事を望み、折に触れて発言してきました。
オープンAI自体、AIの進化が人類全体の危険な存在になることを制御する目的で設立されています。

アルトマン氏が見据える将来像

またサム・アルトマン氏はオープンAIのCEOを努めているだけでは無く、さまざまな事業に投資をしたり、あるいは事業を立ち上げたりしています。
アルトマン氏が関わっているプロジェクトを見る事で、見据える将来像が浮かび上がってきます。

ワールドコイン

アルトマン氏はワールドコイン(World Coin/WLD)という暗号資産プロジェクトを進めています。
ワールドコイン(WLD)は全ての人々がグローバル経済の恩恵を受けられるようにする事を目的に掲げて2023年7月に発表、即日提供開始されたプロジェクトです。
目の虹彩を登録するとコイン(WLD)が無料配布されます。
ロボットと人間の区別が付かなくなる時代、そしてAIが多くの仕事をこなしてしまう時代のベーシックインカム的なインフラを創ろうとしています。

半導体事業

アルトマン氏は半導体のスタートアップ企業「Rain」にも投資しています。
エヌビディアのほぼ独占状態にあるAI向けの高性能半導体チップ(GPU)を開発してボトルネックを無くそうとしている事が伺われます。

原子力と核融合

サム・アルトマン氏は2015年から原子力スタートアップ「オクロ(Oklo)」の会長を努めています。
アルトマン氏はAIの進化が引き起こす莫大な電力需要に対応するために原子力は不可欠と主張しており、AIとエネルギー事業を一連のものとして捉えている事が伺えます。
またアルトマン氏は、核融合発電のスタートアップ企業ヘリオン・エナジー社にも出資しています。
ヘリオン社は2028年に核融合発電を開始する計画で、マイクロソフトも2028年からの電力購入契約を締結しています。

長寿研究

アルトマン氏の投資先には長寿研究(アンチエイジング)分野のスタートアップも含まれます。
2023年5月にはアルトマン氏が、人間の健康寿命を10年延ばすことを目指すスタートアップ企業、レトロバイオサイエンス(Retro Biosciences)に1億8000万ドルの投資をしている事が報じられました。
アルトマン氏はこの投資の遥か前から長寿研究に関心を持っていたと言われます。

まとめ

サム・アルトマン氏はAI業界のみならず、産業・経済界全体で見ても世界の最重要人物の1人となっています。
社会に対する影響力は相当なものになっています。
AIの将来的な危険性についても多くの指摘や提言を行っているので、発言には引き続き注目していく必要がありますね。
発言だけでは無く、アルトマン氏が関わる数々のプロジェクトの展開も目が離せません。
次にアルトマンが何を見せてくれるのか、楽しみにしていたいですね。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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