グーグルの会話形AIツール「Bard」とは?

AI全般
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激動の時代

2022年にOpenAIが公開した「ChatGPT」の登場以降、人工知能(AI)を巡る状況は一気にカオス化し、全く新しい時代へと突入しました。
GAFAMの様な巨大IT企業も例外ではあり得ず、否応なく大きな変革の時代に呑み込まれています。
とりわけマイクロソフト+OpenAI陣営に先行を許したグーグル(親会社はアルファベット)の受けた衝撃は大きく、2022年11月にはグーグルのスンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEOが「Code Red(緊急事態)」のメールを社員向けに発信する事態に至っています。
グーグルの収益の大半はGoogle検索に関連する広告収益であり、会話型AIの台頭は収益モデルの崩壊を招きかねません。
それだけグーグルの危機感は大きかった訳です。
そんなグーグルが反転攻勢に転じ、2023年3月にサービスを開始したのが独自の会話型AIツール「Bard」です。
5月には大幅なバージョンアップも実施され利用価値を大きく高めています。
今回はBardの特徴と展開について紹介します。

Bard とは

Bardはグーグルが2023年2月6日に発表し3月21日に展開を開始した会話型の人工知能ツールです。
ChatGPTやマイクロソフトのBingに対抗するグーグルのサービスという位置づけになります。
誤解されている方も多いのですが、Bardという名称は鳥(bird)では無く詩人(bard)を表す言葉です。
日常の言語(自然言語)の文章で問いかけるとBardが自然言語で答えてくれます。
更にはグーグルが抱えるG-mail、Googleドキュメントといったサービスや、Adobeなどの外部サービスとの連携を開始し、AIを軸にした総合サービスの構築を進めています。
当初は米国と英国のみでの展開でしたが、5月10日からは180以上の国で英語での利用が可能となり、同時に日本語と韓国語での対応も開始されました。
6月10日時点では試験運用中という位置づけのサービスとなっています。

無料で使えます

BardはGoogleアカウントがあり、18歳以上であれば無料で利用が可能です。
Googleアカウントは誰でも無料で作る事ができますが、特に意識していなくてもGmailなどを使っていればGoogleアカウントを持っている筈です。

大規模言語モデル

技術的な話になりますが、Bardはグーグルが開発した大規模言語モデルを使って訓練されています。
当初はLaMDAという大規模言語モデルを使っていましたが、2023年5月にはPaLM2という言語モデルに切り替え、計算能力などを大きく向上させています。

何ができるの?

Bardは探したいこと、調べたいこと、考えたいことについて回答してくれる機能を持っています。
今までのグーグル検索では対応が難しい様な複雑な検索や曖昧な問い掛けにも対応してくれます。
例えばBardに次のような質問をする事ができます。

・東京の人口は何人で、成人の割合はどれくらいですか?
・地球の周りの軌道周期はどれくらいですか?
・水の沸点は何度ですか?やかんで沸騰する時間は?
・フランスの国旗の色は何ですか?
・125+130はいくつですか?
・おいしい卵焼きを作るためのコツを教えて

Bardには生成AIとしての能力もあります。
Bardに次のようなテキストを生成するように依頼することができます。

・日本橋について詩を書いて
・キャラクターを表示させるコードを作って
・お客さんに来店のお礼をするためのメールの文章を作って
・沖縄への3泊4日の旅行プランを考えて

最新の情報にも答えてくれる

CharGPTは現時点では2021年9月以降の情報については答えてくれず、拡張機能(プラグイン)などで補う必要があります。
ChatGPTの大きな弱点でもありますが、Bardは最新の情報についても問題無く答えてくれます。
WBCの結果や欧州チャンピオンズリーグの結果を聞いても大丈夫です。
しかもちょっと質問の意図と回答が違うなぁと感じたら1クリックで他の回答案を表示させる事もできます。
更には関連トピックを検索する事もでき、元データを確認しに行く事もできます。
この辺りはBardの優れた特徴と言えます。

Bardの展開

グーグルは2023年5月に今後のBardの展開についてもアナウンスしています。
具体的には以下のサービスにBardの機能を取り込んで行きます。

・Gmailのメール生成
・Googleドキュメントでの執筆活動サポート
・Googleスライド内の画像生成
・スプレッドシートのデータから有効な作業を提示

こうして今後Bardはグーグルのサービス(Google Workspace)に統合される事でビジネスや個人の作業を大きく変革して行きます。

まとめ

Bardはグーグルが誇る検索機能にAI機能を搭載し、進化させた会話形AIです。
まだ試験運用という位置づけではありますが、検索に留まらず、グーグルや外部企業が展開するサービスとも連携して生産性を劇的に向上させる可能性を秘めています。
グーグルがBardを軸にどの様な世界を作り出して行くのか楽しみにしたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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