オープンAI(OpenAI)は何を開発し、サム・アルトマン氏は何を実現しようとしているのか。

ChatGPT
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AI開発の中心。オープンAI

社会を動かすほどのインパクトを与え、AI技術の重要性を押し上げる転換点となった会話型AI「ChatGPT」。
そのChatGPTを開発したオープンAIは幾多の超巨大企業が犇めくAIの世界で中心的な存在となっています。
最近ではサム・アルトマンCEOの解任&復帰騒動でも話題となりました。
オープンAIとはどの様な組織で、どんな方向を目指して開発をしているのでしょうか。
またサム・アルトマンCEOはどの様な世界を実現しようとしているのでしょうか。
世界のAI開発の中心に至る経緯と現在地を確認しておきましょう。

オープンAIの設立

ChatGPTを開発したオープンAI(OpenAI Inc.)は、2015年に当初は非営利団体として設立された組織です。
以下のメンバーが主な中心となり、10億ドルの資金を供出して創業しています。

・サムアルトマン氏(Sam Altman) 投資会社Yコンビネーション元代表
・イーロンマスク氏(Elon Musk) テスラ社、スペースX社の創業者
・ピーター・ティール(Peter Thiel) ペイパル創業者、投資家
・リード・ホフマン氏(Reid Hoffman) リンクドルン創業者

オープンAIは、AI技術の進化と普及を目指すと共に、技術のオープンソース化を通じてAIの発展を民主化することを重視し、非営利な研究機関として設立されました。
開発したAIのプログラムの中身(コード)を公開して誰でも見られるようにする事で、AI技術が少数の企業や組織に独占される事を防ぎ、より安全なAI技術の普及を進めようとしました。
ただ2018年にイーロンマスク氏がオープンAIの取締役を辞任し、2019年にはマイクロソフトから巨額の出資を受けるようになるとオープンAIの組織の体質は少しずつ変化していった様です。

ChatGPTの公開

オープンAIは2022年11月30日に会話型AI、ChatGPTを公開しました。 人間の自然言語での指示に対応し、会話しながら処理できるChatGPTは公開直後から大きな話題となり、AI関係者はもちろん欧米の大学生などを中心に爆発的な広がりを見せます。 公開後わずか2ヶ月にはユーザー登録数が1億人を突破し、史上最速で1億アカウントを突破したアプリケーション*となりました。

*2022年9月にはアルファ版を対象を限定して試験運用しています。
**その後2023年7月にメタ社が公開したSNS「Threds」が記録を塗り替えています。

ChatGPTのインパクトは絶大で、ChatGPTと共にオープンAIの名前も知れ渡る事となりました。
サム・アルトマンCEOも時の人となり、一般経済紙までもがアルトマン氏を取り上げるようになりました。

ChatGPTの躍進にGAFAM*らの巨大IT企業も大きな影響を受けます。
中でも大きな危機感を覚えたのがグーグルです。
グーグルのCEOは社員宛に「Code RED(非常事態)」と題するメールを発信し、ChatGPTに対し警戒を強めました。

*Google,Amazon,Facebook(現META),Apple,Microsoftの総称。但し米国ではGAFAMという呼称は余り使われません。

AI開発の最先端

オープンAIはChatGPTの画像生成サービスの「Dall-E」やAI音声認識翻訳サービス「ウィスパー(Wisper)」など様々なAIツールを開発・公開しています。
一時はロボットの開発も進めていたようですが、現在は開発を停止しています。
但し北欧のAIロボット開発企業「1X」などに投資をしており、AIを搭載したロボットという方向性を捨てている訳ではなさそうです。
オープンAIは世界のAI開発の最先端にいる組織と見てよいでしょう。

マイクロソフトとの資金関係

一方、大きな躍進の手応えを持ったのがオープンAIと提携関係にあるマイクロ
ソフトです。
マイクロソフトはオープンAIに対して2019年に10億ドル出資し、21年にも資金を提供していました。
マイクロソフトはオープンAIのプロダクトを優先的に利用できる立場にあり、AIの競走において大きなアドバンテージを得ました。

投資の拡大

2023年1月、マイクロソフトがオープンAIに対して今後数年間で総額100億ドルにも及ぶ追加投資を行う計画である事が明らかになりました。
超巨大企業マイクロソフトにとっても史上最高額の投資案件となります。
オープンAIはマイクロソフトの子会社では無くあくまで資本提携という関係ですが、AI開発のトップを抱え込んだ事の意味は大きく、グーグルに対して検索エンジンなどで大きく遅れを取ったマイクロソフトの強力な武器となっています。

アルトマンCEOの解任騒動

マイクロソフトの支援も得て盤石に見えたオープンAIですが、2023年11月、衝撃が走ります。
11月17日にオープンAIの取締役会がサム・アルトマンCEOを解任したと発表したのです。
これだけでも衝撃的なニュースだったのですが、その後わずか数日の間に事態は二転三転した上に社員の圧倒的な指示を得てアルトマン氏がCEOに復帰するという結末を迎えました。
アルトマンCEO解任騒動の顛末は別の記事で解説していますので参照下さい。

特殊な組織体系を持つオープンAI

前述したようにオープンAIは元々非営利の団体として創立しましたが、現在の組織体系は特殊です。
まず非営利組織のオープンAI(OpenAI Inc.)があり、その傘下にオープンAIの持株会社が存在します。
更にその下に営利企業のオープンAI・グローバル社(OpenAI Glaoval LLC)があります。
マイクロソフトが出資しているのはこのオープンAI・グローバル社で、今回の出資によってオープンAI.Incが51%、マイクロソフトが49%の資本比率になる予定です。

オープンAIが目指すAGI

オープンAIは当然の事ながらChatGPTの開発を継続しており、ChatGPT5.0(あるいは4.5)の公開も時間と見られています。
その先にあるのは汎用人工知能(AGI)の確立です。
人間の叡智をあらゆる局面で上回るようなAGIが登場する事によって人間社会は否が応でも変化をしていく事になるでしょう。
一説にはオープンAIが既にAGIを生み出す事に成功しつつあり、その危険性を巡る意見の対立がアルトマンCEOの解任騒動の背景にあったとも言われています。

アルトマン氏が見据える将来像

またオープンAIの今後の動向は、今回の解任騒動を経て組織内での影響力を強めたサム・アルトマンCEOの意向が更に強く反映されていくと考えられます。
アルトマン氏の発言も重要ですが、アルトマン氏が投資しているプロジェクトを見る事で、見据える将来像が浮かび上がってきます。

ワールドコイン

アルトマン氏はワールドコイン(World Coin/WLD)という暗号資産プロジェクトを進めています。
ワールドコイン(WLD)は全てのの人々がグローバル経済の恩恵を受けられるようにする事を目的に掲げて2023年7月に発表、即日提供開始されたプロジェクトです。
目の虹彩を登録するとコイン(WLD)が無料配布されます。
ロボットと人間の区別が付かなくなる時代、そしてAIが多くの仕事をこなしてしまう時代のベーシックインカム的なインフラを創ろうとしています。

半導体事業

アルトマン氏は半導体のスタートアップ企業「Rain」にも投資しています。
エヌビディアのほぼ独占状態にあるAI向けの高性能半導体チップ(GPU)を開発してボトルネックを無くそうとしている事が伺われます。

核融合から長寿まで

この他アルトマン氏の投資先には核融合や長寿研究といった分野のスタートアップも含まれます。
AGIを中心にどのような社会を考えているのかが見えてくるのではないでしょうか。

まとめ

オープンAIはかつてない勢いで盛り上がっているAI開発の最先端にいる組織と言えます。
2015年創立記念という若い組織がここまでの影響力を持つ存在となった事には驚くしかありません。
今年もその一挙手一投足が世界の注目を集める事になりそうですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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