グーグル、マイクロソフト、エヌビディア…米国ビッグテックのAI戦略【2024年10月版】

AI全般
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AI市場を牽引するビッグテック

AI市場が急速に拡大していく中で、押さえておかなければいけないのが世界的IT企業、いわゆるビッグテックのAI戦略です。
今回は米国が誇る7つのビックテック企業:グーグル、マイクロソフト、エヌビディア、メタ、アップル、アマゾン、テスラと、AI業界の象徴的存在であるオープンAIのAI戦略についてその概要や基本的な製品・サービスを紹介していきます。
もちろんビッグテックと呼ばれるような企業はAIだけを事業にしているわけではないので、全てを捉える事にはなりませんが、大きな材料にはなると考えています。

マイクロソフト/Microsoft

・会社名 マイクロソフト(Microsoft Corp)
・市 場 NASDAQ(MSFT)
・代表者 サティア・ナデラ(Satya Nadella)会長兼CEO
・サイト https://www.microsoft.com/ja-jp

【プロダクト】
・対話型AI  Copilot
・検索エンジン Bing
・業務ツール Microsoft365
・AIパソコン Copilot PC

マイクロソフトは2019年7月からオープンAIに出資して提携関係を築いており、2023年1月には累計で100億ドルの出資をしてOpenAI LPの株式の49%を取得する大株主となりました。
マイクロソフトのAI事業はオープンAIの技術を積極的に組み込む形で展開し、大きな成果を納めています。
マイクロソフトのAIサービスは「Copilot」のブランド名で統一されて同社の各種サービスに展開されています。
2023年には検索エンジン「Bard」を発表し、ChatGPTの機能を実装(名称はCopilot)することで差別化に成功し、グーグルの圧倒的な牙城である検索エンジンの市場でシェアを増やしています。
同社の強みであるExcel、Word、PowerPointといった基幹ツールにもCopilotを実装し、大幅に生産性を向上させる事でオフィスソフトを更に発展させようとしています。
また「Windows」を軸にしたPC産業への支配力もマイクロソフトの重要な基盤です。
2024年にはPCメーカーに呼びかける形で「AIパソコン」のカテゴリーを立ち上げ、新しい市場を創設しようとしています。
AIパソコンの市場が確立されれば、PC市場に新たに高価格帯の市場が創設され、マイクロソフトも大きな利益をもたらす事になります。

エヌビディア/NVIDIA

・会社名 エヌビディア(NVIDIA Corp)
・株 式 NASDAQ市場(NVDA)
・所在地 カリフォルニア州サンタクララ
・代表者 ジェンスン・フアンCEO
・サイト https://www.nvidia.com/ja-jp/

【プロダクト】
・半導体(GPU) H100/Blackwell B200

エヌビディアはAI向け半導体(GPU)の爆発的な市場拡大を背景に、時価総額1位の企業にまで躍り出ました。
現主力GPU製品である「H100」は1台4万ドルともされる価格でありながら入手困難な状況にあり、粗利は9割近いと噂されています。
次期主力GPUの「Blackwell200」も発売され、その次のモデルも発表されています。
先端GPUの盟主の基盤を着々と固めています。
AI向けの半導体はしばしば「エヌビディア超えのAI半導体を開発」のニュースが流れますが、2024年9月の時点では本格的な脅威とみなされる製品は無いと言って良さそうです。
エヌビディアのGPUの性能が高いのはもちろんですが、エヌビディアは世界中の有力な大学や研究機関に開発ツールを提供しており、圧倒的なシェアを持っています。
開発ツールはエヌビディアの半導体を前提として構成されているので、ライバル企業はこうした部分の障壁も崩さないと太刀打ちできません。
更に高性能な半導体を開発してもその量産には時間と資金が必要で、供給先の確保も必要になります。
この点でもエヌビディアが優位にあることは確かです。
但しナスダックへの上場を準備しているセレブラスはエヌビディアの脅威になり得るかも知れません。
エヌビディアは半導体以外の分野への投資にも非常に積極的であり、特にロボット分野のスタートアップへの投資が目立っています。
他にもバイオや農業技術関連のスタートアップに多くの投資を行っています。

グーグル/Google

・会社名 Google LLC
・親会社 Alphabet(GOOGL)
・本拠地 カリフォルニア州マウンテンビュー
・代表者 スンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)Google及びAlphabet社CEO
・サイト www.abc.xyz

【プロダクト】
・対話型AI Gmini 1.5 Urtra/1.5 Pro/1.5 Nano
・検索エンジン Google検索
・画像生成 imagen3
・動画生成 Video FX
・音楽生成 Music FX

ChatGPTの登場でマイクロソフト/オープンAI陣営にAI分野で遅れを取った形のグーグルは独自のAI「Gemini」を開発し、強力な巻き返しをはかっています。
ai
画像、動画、音楽生成のツールをまとめたプラットフォーム「ImageFX」を公開し、この分野でも進化を続けています。
またグループのAI研究部門、グーグル・ディープマインドが新素材の発見など研究者向けのAIモデルを続々と開発し、既に目覚ましい成果をあげています。

アマゾン/Amazon

・会社名 アマゾン・ドット・コム(Amazon.com Inc)
・株 式 NASDAQ市場(AMZN)
・創業者 ジェフ・ベゾス共同創業者
・代表者 アンディ・ジャシーCEO
・サイト https://www.amazon.com/

【プロダクト】
・AIサービス Amazon Brdrock

アマゾンはAIや自動運転、6Gなどで増大が予想されるデータ需要への対応に資金を投じています。
最大のクラウドデータサービスであるAWSを抱えている事が大きな強みとなっており、AI分野でも存在感を持っています。

メタ/Meta

・会社名 メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms Inc)
・株 式 NASDAQ市場(META)
・本拠地 カリフォルニア州メンローパーク
・代表者 マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)創業者、会長兼CEO
・サイト https://www.meta.com/

【プロダクト】
・大規模言語モデル Llama3.2

メタ社はLlamaという独自の大規模言語モデルを開発しています。
Llamaの最大の特徴はオープンソースモデルだという点で、このため数多くの企業からLlamaを利用したアプリケーションが続々と開発されるようになりました。
またメタはVRグラスの開発に力を入れており、この分野ではアップルと競合していますが、メタが覇権を握るのではという声が多いです。

アップル/Apple

・会社名 アップル(Apple Inc)
・株 式 NASDAQ市場(AAPL)
・本拠地 カリフォルニア州クパチーノ
・代表者 ティモシーDクック 
・サイト https://www.apple.com/

アップルは2024年9月にiPhone16を発売。AI機能搭載のスマートフォンとして話題になりましたが、AIをスマートフォン内部に組み込んだスマートフォンとは言えず、技術的には抜きん出たものではありませんでした。
ただアップルは以前から技術面よりその組み合わせやマーケティングに優れていた企業なのでその点は踏まえておく必要があります。
とはいえ自社技術の開発状況に不安が囁かれているのも事実で、次世代の主力事業と睨んでいた自動開発から事実上の撤退をし、経営資源をAI分野に集中させています。
ただそのAI分野でも、ライバルでもあるオープンAIやグーグルとも提携の話を進めるなど、自社技術に拘らない姿勢を見せています。

テスラ/Tesla

・会社名 テスラ(Tesla Inc)
・株 式 NASDAQ市場(TSLA)
・本拠地 テキサス州オースチン
・代表者 イーロン・マスク 
・サイト https://www.tesla.com/

電気自動車(EV)メーカーとしてテスラを見ると将来性に疑問符を付ける意見が多いですが、自動運転の基幹技術を握るIT企業として見るとテスラへの見方は一変します。
自動運転の開発からアップルが事実上の撤退をした事で、この分野ではテスラが圧倒的な優位性を築きつつあります。
競争相手は中国のBVD。
イーロン・マスクCEOが創業したxAI社で巨額の投資をしてAI開発を進めており、その恩恵を期待できる立場にあります。
xAIは巨額の投資によって世界最高水準のAIモデル開発環境を整備しており、テスラもその成果を導入できる立場にあります。

オープンAI/OPenAI

・会社名 非営利法人OpenAI Inc.、営利部門OpenAI LP
・株 式 非上場
・本拠地 カリフォルニア州サンフランシスコ
・代表者 サム・アルトマンCEO
・サイト https://openai.com/

【プロダクト】
・対話型AI ChatGPT-o1 Prevew/o1 mini/4o
・画像生成 DALL-E3
・動画生成 SOLA(未公開)
・音声認識 Whispers
・検索エンジン SarchGPT

ChatGPTの開発によってAI業界を代表する存在となったオープンAIはマイクロソフトの出資を受けて提携関係にあります。
元々オープンAIは非営利の研究機関として発足し、その後は非営利組織OpenAI Incの傘下に営利企業のOpenAI LPが入る独自の組織形態を取っていました。
但しサム・アルトマンCEOは営利企業の形態への変更を表明しており、組織も改変される可能性が高い状況です。
2024年9月にミラ氏が退職を発表し、創業メンバーはほぼぼぼサム・アルトマンCEOだけになってしまいましたがAI開発は進行しており、直近でもGPT-o1が公開されています。
最近ではAI開発のために、米国政府に対しアルトマン氏が原発5基分に相当する電力供給を要求し、話題となっています。

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